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イギリスの大学院の課題論文の話

画像は、約20年前に イギリスの大学院で書いた【戦略的マネジメント】という科目の課題論文のイントロダクションの冒頭部分です。今日は、イギリスの大学院での課題論文についてという、マニアックなはなしです。

大学によって、課題論文の書き方やサポート方法は違うとは思いますが、私が留学していた当時は、他の大学院に通っている友人に聞いても同じようなスタイルだったので、ちょっと古い話ですが基本は余り変わらないと思うので、紹介したいと思います。

まずは、構成と作成ポイントです。

課題論文は、科目の中でテーマが3つほど提示され、テーマを一つ選んで書いたり、テーマが1つの場合もあります。ボリュームは4000単語前後で、A4用紙10枚程度です。当然この論文が合格しないと単位をもらえず、結果、修士号を取得できません。

まずは、論文の構成ですが、インロトダクション→本文→結論→引用文献と大きく分けて4部構成です。そして、本文には、リタラチャーレビューといって、そのテーマの専門家が書いた学術論文や書籍の文献を参考に、論点を整理し、結論の仮説を立てながらその仮説を検証・証明していく論理的な文章を書いていきます。

リタラチャーレビューでどんな文献を探して、選んで引用するかが、課題論文の合否の決め手となると思います。私がよく講義中に先生に言われていたのは、「君がどう思うかはあまり興味はない。そのエリアの専門家が述べていることを引用し、君の仮説が正しいかを論理的に証明せよ!」と良くアドバイスされてました。

つまり、いかにそのテーマに沿った専門家の文献を選んで読んで、正しく理解できるか?が重要でした。最低でも20種類の文献を読む必要がありましたね。
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​​また、ここで非常に大事なのが、仮説を検証するうえで、クリティカルシンキングをしながら、複数の視点から仮説を議論することです。思い込みで偏った結論にならないようなプロセスが必要です。

なお、本文にはリタラチャーレビューにプラスして、自身がアンケートやインタビューによってリサーチをして、その結果を書かないといけない科目もありました。

次に、課題論文の大学院のサポート体制についてです。

イギリスの大学院では論文ごとに、担当教員より無料で2回1時間程度の個別指導を受けることができます。これをトゥートリアルと言います。

私は、各論文の書きはじめの前半と後半の2回必ず、個別指導をしてもらってました。前半に課題論文の仮説や文献の選択の方向性が良いかどうかを聞いて、後半はある程度論文を書いた時点で自身の議論の論点を先生に伝えて、論点のズレがないかを確認してました。
これは強制ではないので、希望者のみが先生に個別アポをとる仕組みです。

今でも鮮明に覚えているのは、一番最初の課題論文を書く際のトゥートリアルでイタリア人の先生に言われた言葉です。「あなた、これまで英語で論文書いたことないでしょう?基本的なことができてないわよ!稚拙な質問ばかりしないでよ~全く!!」というお叱りの言葉。

確かに、英語で長い学術論文を書くのは初めてだったので、大学の図書館で「論文の書き方」を読んでいたのですが、非常にレベルが低かったようで、先生に指摘されました。トホホ…

そのダメ出しがとっても悔しかったのでその後、再度「論文の書き方」を読み理解を深め、クラスメートと意見交換しながらテーマについて議論を深め、なんとかなんとか、最初の課題論文を書き終えて、合格しました。

2回目の論文からも、悪銭苦闘しながらの1年間でしたが、最後の卒業論文20,000単語を書き終えたときは、放心状態(笑)でしたね。

イギリスでの論文作成、私の人生でとっても良い貴重な体験でした。
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